

本記事の内容
- 今の会社がイヤだから転職するわけですが、、
- 面接官は転職理由の説明で、何をチェックするか
- 人事担当が解説する退職理由・転職理由の成功例、失敗例
- まとめ
本記事の信頼性
- この記事を書いている私は、大企業子会社の人事部採用担当歴5年ほど。
- 実際、中途採用の面接を行い、毎回、応募者の退職理由を質問しています。
退職理由、つまり転職理由は、中途採用の面接で必ず質問される項目です。
退職理由は、面接官にネガティブなイメージを与えてしまうと、かなりの確率でその面接は失敗に終わります。
退職理由、転職理由は、面接官にいかにして納得、共感してもらえるかが、ポイントとなります。
面接で成功するための退職理由説明は、相手(面接官)の立場からの客観的な分析が必要となります。

面接で成功する退職理由説明 成功事例と失敗事例
今の会社がイヤだから転職するわけですが、、
転職をしようとするあなたは、今の会社に何らかの不満を持っているから、転職活動をしているはずです。
今の会社がイヤだから辞める。
本音はもちろんこれでよいのですが、退職理由は本音のまま面接官に伝えると、面接は失敗することが多いのも事実です。
面接官は転職理由の説明で、何をチェックするか
そもそも面接官は、応募者の退職理由説明の部分で、何をチェックしているのでしょうか。
以下、大企業およびその系列子会社での価値観に的を絞った、退職理由でのチェック項目です。
大企業系の面接官は退職理由説明で、ここをチェックする
この方はうちの会社に入って長く働いてくれそうか
この方は、入社後、問題を起こさないだろうか?
1つずつ解説していきますね。
この方はうちの会社に入って長く働いてくれそうか
退職理由、転職理由に、「今の会社がイヤだから辞めます」というものがにじみ出ていると、面接官は、「この方はうちに入社してもすぐに辞めてしまうだろう。」という印象を持ちます。
昨今は、人を一人採用するためのコストも上昇しているゆえ、せっかく苦労して採用した人がすぐに辞められてしまっては、企業側に大きな損害が発生します。
よって、直近に勤務している会社の退職理由の説明のしかたも去ることながら、複数の職歴を持つ人で比較的短期間に転職を繰り返している人は、退職理由、転職理由は相当入念に練り上げなければなりません。
この方は入社後に問題を起こさないだろうか?
退職理由が人間関係のこじれや、給与処遇に関する不満、あるいは体調不良が原因であることが感じられる場合、面接官はこの項目に敏感になります。
日本の企業、特に大企業系の会社は、社員が少々問題を起こしても簡単に解雇することができません。
すぐに上司や同僚と人間関係の問題を起こす社員、メンタル疾患を抱え続け、実質、会社の戦力になっていない社員についても、会社は給料を払い、雇用し続けなけれなりません。
これが会社側にとって、人を雇うことについて、非常に大きなリスクとなるのです。
人事担当が解説する退職理由・転職理由の成功例、失敗例
それでは具体的に、退職理由、転職理由は、どのような内容を説明すればよいのでしょうか。
これまでの私の現場での経験を踏まえ、具体例を解説してきましょう。
面接に失敗する退職理由の例
まずは失敗する事例からです。
面接に失敗する退職理由説明の例
正当に評価されていないから辞めます
人間関係で悩んでいるので辞めます
上司からパワハラを受けているから辞めます
やりたい仕事をやらせてもらえないので辞めます
1つずつ見ていきましょう。
正当に評価されていないから辞めます

このような状況を打開するために、このたび転職を決意しました!

このような退職理由の説明を聞いて、面接官はどう思うでしょうか?
会社とは組織ゆえ、いろいろな部署があります。
華やかな部署、地味な部署、それぞれ組織には必要だからその部署は存在しているわけです。
社員も常に華やかな部署で働けるとは限らず、地味な部署で我慢を強いられる期間も当然のことながらあるわけです。
よって、このような退職理由を聞くと、面接官は、「うちでも多かれ少なかれ部署によって評価が異なるところはあるよな。。この方はうちに入社しても、同じ不満を持つことになるだろう。」
という風に考えます。
この退職理由を聞いた瞬間、この人は、入社してもいずれ現職と同じ不満を持ち、辞めてしまうだろう。という評価になります。
上司からパワハラを受けているので辞めます
これは多くはありませんが、少なからず出てくる退職理由です。
現在は職場でのパワハラについて、罰則が設定され、パワハラに対して世間の目はより厳しいものになりつつあります。
世間の情勢を踏まえると、一見、共感を得られそうな退職理由ですが、実はそうではありません。
面接での説明だけでは、パワハラの詳細な状況、客観的な情報が不足していますので、本当のことはわかりません。
ただ、これは誤解を恐れず言いますと、パワハラを受けている場合、パワハラをしている上司に大きな問題があることがほとんどですが、パワハラを受ける側にも少なからず問題があることも事実です。
よって、パワハラ絡みの退職理由ですと、人事担当、面接官は、「この方は当社に入社しても、同じ問題が発生する可能性が高い」と判断してしまいます。
そうなってしまうと、期待していたパフォーマンスを発揮することは難しく、会社側はそのような状況でも、定年まで雇用し続けなければならない、というリスクを抱えることになります。
人間関係で悩んでいるので辞めます
これは、退職理由としてストレートにこのまま説明する、というケースはほとんどありませんが、言葉の端々に人間関係の悩みがにじみ出てくると、上で説明したとおり、「入社後に問題を起こす可能性が高い人」という評価を受けてしまいます。
会社とは組織であり、いろいろな人がいます。
当然、ある人から見て、好きな人、嫌いな人、合う人、合わない人がいるわけですが、会社としては、どんな人とでもある程度うまくやっていける、人間関係に器用な人が好まれます。
人間関係に器用な人は、職場で問題を起こす可能性は低く、組織の方針を文句を言わず実行する優秀な人材になりえるのです。
やりたい仕事をやらせてもらえないので辞めます
これはうまく説明すれば、共感を得られることもありますが、単なる本人のわがままに聞こえてしまいますと、面接官にネガティブなイメージを与えてしまいます。
さきほども説明したとおり、会社とは組織ですので、すべての人が希望の仕事をさせてもらえるわけではありません。
よって、自分の希望する仕事ではないけれど、グッと我慢し、与えられた仕事に全力を尽くし、異動の機会を待つという姿勢も組織の中で働く上では重要となります。
面接で成功する退職理由説明の事例
つづいて、面接で成功する退職理由・転職理由の解説をしてきます。
面接で成功する可能性が高い、主たる転職理由は、ほぼ1つに絞られます。
それは、
自身の(専門家としての)スキルを高めたい、仕事の幅を広げたい
というものです。
この内容が含まれない退職理由・転職理由は、説得力に欠けます。
スキルを高めたい、仕事の幅を広げたい、という理由は、面接官から見れば、
「この人は入社後、自らのスキルを高めるために、一生懸命、仕事をしてくれるだろう。」
という解釈になるわけです。
今の世の中は、働き方改革という言葉がすっかり定着し、長時間労働や多残業が抑制されているとはいえ、長時間労働、会社のために尽くす、という価値観で育ってきた面接官の世代においては、社員が一生懸命、心血注いで仕事をしてくれるのは嬉しいことなのです。
スキルを高めたい、仕事の幅を広げたい、というポジティブな退職理由・転職理由を主たる理由にすることが必須ですが、以下のような退職理由も、副次的な理由としては、多くの場合、納得できるものです。

会社が倒産してしまった、または、業績が悪化してきた
今の仕事は好きだけど、あまりに残業が多く、体を壊しそうなので転職する
今後のキャリアプランは現職では実現できないので転職する
これも1つずつ見ていきましょう。
会社が倒産してしまったので転職する
これは説明無用かと思いますが、今の仕事は好きで続けたいが、現状の会社の状況を鑑みると今のまま、仕事を続けていくのが困難である、というのは、一社員として働いている人にはコントロールできない事象です。
会社の倒産までとはいかないまでも、業績が急速に悪化し、人員削減や、開発費削減などで、これまで自分が担当していた仕事が継続できなくなってきた、というのも同様に扱うことができます。
今の仕事は好きだけど、あまりに残業が多く、体を壊しそうなので転職する
こちらはひと昔前ですと、サブ的な理由とはいえ、多残業に耐えられないという退職理由は、「根性がない」などという解釈がなされていました。
しかしここ最近は大企業系の会社を中心に、社員の健康管理にも力を入れてきていますので、常識範疇を超える多残業は、退職理由として面接官を納得させることができる材料となりえます。
今後のキャリアプランは現職では実現できないので転職する
これは説明の仕方を間違えると、単なるわがままと解釈されてしまいますが、自分自身のキャリアプランをしっかり考えているということは、評価される点です。
面接官に、今の会社では、自分のキャリアプランを実現するための技術、リソースがないことがしっかり伝われば、退職理由としてポジティブに評価されます。
家庭、実家の都合でUターンしなければならなくなった
これも会社の倒産、業績悪化と同じ扱いとなりますが、ここを前面に押し出すと、必ずしもポジティブな受け止めになりえなくなる場合もありますので、注意が必要です。
これらのサブ的な退職理由・転職理由は、これら単体では面接官を十分に納得させる材料にはならないことが多いのが実情です。
あくまで、スキルアップ、仕事の幅を広げたいなど、転職先の企業に貢献できることが見込まれるポジティブな、主たる退職理由・転職理由のサブ的な理由という位置づけであることをしっかりご認識ください。
「今の仕事は好きだけれど、」という部分が大きなポイントになります。
「仕事が好き!」ということは、一生懸命働き、どんどん自分の力を伸ばし、会社に貢献してくれる、という図式が成り立ちます。
転職エージェントのキャリアアドバイザーも活用しよう
退職理由の説明の仕方については、転職エージェントのキャリアアドバイザーも膨大な情報を持っています。
特に、あなたがこれから面接を受ける企業について、過去の成功事例、失敗事例の情報収集を行うことは必須です。
そのような時には、転職エージェントのキャリアアドバイザーを活用しましょう。
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まとめ:面接で成功する退職理由説明
今回は、面接で成功する退職理由・転職理由の説明について、解説いたしました。
以下、本日のまとめです。
面接で成功する退職理由の例
◆主たる理由
自身のスキルを高めたい、仕事の幅を広げたいなど、転職先の会社への貢献が期待できるポジティブな内容
◆副次的な理由
- 会社の倒産・人員削減などの業績悪化
- 今の仕事は好きだけど、あまりに残業が多く、体を壊しそうなので転職する
- 今後のキャリアプランは現職では実現できないので転職する
- 家庭、実家の都合でUターンしなければならなくなった
面接で失敗する退職理由
- 正当に評価されていないので辞める
- 上司からパワハラを受けているので辞める
- 人間関係で悩んでいるので辞める
- やりたい仕事をやらせてもらえないので辞める
本日は以上です!