

本記事の内容
- そもそも中途採用の面接って何をチェックされる?
- 志望動機の良い例、NG例
- 本音が許容される例
本記事の信頼性
- この記事を書いている私は、大企業子会社の人事部採用担当歴5年ほど。
- 実際に中途採用の面接を担当し、応募者の様々な志望動機を聞いています。
- また、技術者としても2回の転職を経験していますので、転職を志す技術者の気持ちがよくわかります。
前置きはこれくらいにして、今回は「中途採用面接における志望動機説明」について、良い例、NG例について現役の採用担当が解説いたします。
もくじ
中途採用面接での志望動機説明 良い例 NG例
そもそも中途採用の面接って何をチェックされる?
そもそも中途採用の面接は、面接官から何をチェック、評価されるのでしょうか。
ここをおさえずして、面接官に受ける志望動機の例を見ても、本質をとらえることができません。
本質をしっかりおさえないと、あなたが練り上げた志望動機も内容が薄く、面接官の質問に歯切れよく答えられなくなります。
まずは、中途採用の面接に臨む面接官の心理を知ることが、一番の早道です。
中途採用の面接で面接官にチェック、評価されるのは概ね以下のとおりです。
- 応募企業に対するロイヤルティ
- スキル・経験
- 人間性
志望動機をつくり込む上では、上記の3項目のうち、「応募企業に対するロイヤルティ」という項目が重要となります。
この記事では、「応募企業に対するロイヤルティ」について、解説してきます。
ロイヤルティとは、直訳すると、忠誠心ということになりますが、意味合い的には、応募先企業へ入りたいという「熱意」という解釈でOKです。
応募企業に対するロイヤルティは、更に3つに分解できると考えます。
- 当社に入社したいと熱意があるか
- 長く働いてくれそうか
- 入社後も向上心を持ってレベルアップし、会社に貢献してくれそうか
これも1つずつ解説していきます。
① 当社に入社したいと熱意があるか
「熱意」とは、どのように示せばよいでしょうか。
もちろん、精神論をいくら並べても、面接官に対する説得力はほとんどありませんので、熱意は、「実際の行動」で示す必要があります。
「実際の行動」とは何か。
これは、応募先企業について、徹底的に調べ上げることに尽きます。
応募する企業の事業内容、事業方針、社長や部門のトップの考え方、将来ビジョン、業界における実力、位置づけ、そこで働いている社員がどのような仕事をしているのかなどを調べ上げます。
こうすることにより、あなたは応募先企業について、正しく知ることができ、的を得た志望動機を形成することが可能となります。
② 長く働いてくれそうか
この項目は特に大企業およびその系列子会社で重視されます。
大企業系の会社は、経験を持った中途入社者についても、入社後の教育をわりとしっかりやります。
教育をしっかりやる理由は、大企業には、独特の仕事の進め方、組織における価値観が存在するため、経験者といえども大企業の文化に馴染む人材に教育していく必要があるからです。
代表的な例が、報告の仕方、報告資料の作成の仕方、社内の諸手続きのやり方などですね。
こういった背景から、経験を持った中途入社者とはいえ、会社の文化、やり方にぴったりフィットする人材に仕立て上げるのに、相応の期間の教育が必要となるわけです。
このように人を一人採用し、育成するにあたっては、相応の時間がかかり、更には、転職エージェントに支払う手数料など、直接的、間接的にかなりのお金がかかります。
そのような状況で、採用した人が会社側から見て、十分な成果が出る前に、辞められてしまっては都合が悪いわけです。
③ 入社後も向上心を持ってレベルアップし、会社に貢献してくれそうか
応募者にとって、希望する企業へ転職を果たすことは、1つのゴールだと思います。
しかし、企業側から見ると、転職、入社がゴールではありません。
会社としては、中途入社者には、入社後もしっかりと技術、専門性を磨き、スキルアップしてもらい、会社の事業への貢献度を高めていってもらいたい、と期待します。
これは、面接においては、応募者が「将来のキャリアプラン」というものをしっかり見据えているか?という点で評価します。
入社後のキャリアプランを持っているということは、入社後もしっかりレベルアップしていってくれるだろう、と期待できるわけです。
志望動機の良い例、NG例
面接に合格できる志望動機の例
この項ではいよいよ、面接に合格できる志望動機の例を解説していきます。
面接官が評価してくれる志望動機は、応募先企業に対するロイヤルティ(忠誠心)にフォーカスして作成します。
応募企業に対するロイヤルティ(忠誠心)は以下の3つの項目でしたね。
- 当社に入社したいと熱意があるか
- 長く働いてくれそうか
- 入社後も向上心を持ってレベルアップし、会社に貢献してくれそうか
これらのポイントをおさえて作成した、面接に合格できる志望動機の具体例は、下記の記事にて、詳細にまとめてありますので、こちらをご参照ください。
面接では言ってはいけない志望動機(NG例)
この項目では、志望動機の例において、面接官の印象を悪くするものを集めてみました。
いずれも面接の現場において、応募者の方が実際に説明した内容です。
自分の都合のみを説明した志望動機の例


私は個人的にはこういった理由で転職するのは有りだと考えています。
理由は、現在、特に若い人の価値観は大きく変わってきており、会社に滅私奉公する働き方は、明らかに敬遠される傾向にあります。
しかし、面接を行う面接官は年齢が大きい人が多いのが実情です。
このような人たちの根底の価値観は、昔のままであることが多く、表面上は、「働き方改革を推進します!」と言っていますが、まだまだ、残業をたくさんやって、会社にために尽くしてくれる人を評価します。
誤解をおそれず言えば、たくさん働き、スキルを向上させ、会社に尽くしてくれる人を高く評価するのは、経営者の目線で言えば、至極当然のことです。
あくまで、「面接官の心理」を理解した上で、面接官の心に響く志望動機を言わねばなりません。


これももちろん、本音としては全然ありですが、面接官からすると、この部分が前面に出ている志望動機には、共感できません。
理由は、応募しようとしている企業の事業や仕事について、全く触れられていないからです。
つまり、この会社に入社したい!という熱意が感じられない理由と解釈されてしまいます。


これも同様に、応募先企業に対するロイヤルティが全くありません。
応募している企業における事業、仕事などには触れられておらず、地元だから、という理由だけの志望動機です。
つまり応募者にとって、この会社でなければならない理由はなく、地元の優良企業であれば、どこでもよい、と解釈されてしまいます。


まさかと思われるかもしれませんが、これも実際にあった例です。
もはや説明無用かと思いますが、応募先企業の事業、仕事については触れられておらず、応募者の目先の都合のみを述べている志望動機ですね。
面接官は、「転職の動機が給与だけなら、もっと給料が良い会社が見つかれば、すぐに転職してしまうだろう。」と解釈します。
つまり、「長く働いてくれそうか」という要件にも引っかかってくるわけです。
会社への依存度が高く、主体性がない志望動機の例


一見よさそうですが、志望動機がこれだけでは、面接官にはネガティブなイメージを与えます。
理由は、「御社に入社したら、○○のような仕事を担当し、自身のスキルを向上させていき、会社に貢献していきたい」というような、熱意が感じられないからです。
この志望動機も、「この会社でなければならない」という理由にはなりえません。


これも実例で、面接官一同、一瞬ずっこけたのを私は見逃しませんでした(笑)。
この方が、すごいスキルを持っていて、かつ、転職市場が超・売り手市場(転職者に有利な市場)であれば、合格できる可能性もありますが、コロナ大不況がはじまりつつある現在では、合格は厳しい志望動機です。


これも実際にあった例なのですが、もう説明無用ですね。。
応募者自身の意見、思いが全くありません。
これらの志望動機のNG例に共通することは、
- 応募している会社に入りたいという熱意が感じられない
- この会社でなければならないという理由がわからない
- 自分はこの会社に入って、どういう人になっていきたいかがわからない
ということになります。
本音がある程度許容される例
さて、ここで解説する項目は、志望動機説明の中に入れて説明する場合は、言い方に最新の注意をはらう必要がありますが、本音の部分をある程度、面接官に許容される例です。
親が体調を崩したため実家にUターンしなければならなくなった
これは志望動機の説明の中でよく出てくる内容であり、面接官にもある程度は共感されるものですが、メインとなる志望動機に付け加えられる、副次的な動機としなければなりません。
また、転勤がある会社ですと、あまりいい印象を与えないので、注意が必要です。
会社が倒産しそう、もしくは業績悪化でリストラをはじめた
この内容も、これだけでは志望動機とはなりえませんが、事情が事情ゆえ、転職の動機としては、面接官にも多くの場合、理解される内容です。
給与が世間水準と比べ、明らかに低い場合
実際にあった事例ですが、新卒で入社した派遣会社で、昇給はほとんどなく、賞与も一桁、妻と子供が一人いて、年収280万円ほどという方がいました。
さすがにこの水準ですと、生活が成り立たないのは明白ですので、面接官にも共感していました。
しかしこの例も、単体で志望理由にはなりえませんので、注意が必要です。
労働環境があまりに劣悪な場合
いわゆるブラック企業に勤めている方に多い例です。
現職が年俸制の名のもとに、残業という概念がない会社ですが、年収レベルは明らかに世間水準を大幅に下回っており、なおかつ、毎日、深夜までの残業を強いられている、といった状況ゆえ、環境を変えたい、というものです。
ここで説明した例は、転職動機としては、面接官は一定の共感を示しますが、メインの志望動機にはなりえないことを理解しておく必要があります。
主たる志望動機は、
- 応募先企業に関し、徹底した情報収集をベースとし、この会社に入りたいという熱意を示す
- この会社に入れたら、どういう社員になりたいか(自身のキャリアプラン)
- 入社後もスキルアップし、長く会社に貢献したい
という内容を盛り込んだ志望動機をつくり込む必要があります。
面接に合格する可能性が高くなる志望動機のつくり込みは、応募する会社の特徴も大きく影響します。
このようなときは、転職エージェントのキャリアアドバイザーをフル活用しましょう。
キャリアアドバイザーは、これまでの膨大な成功事例、失敗事例を持っているはずですから、活用しない手はありません。
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まとめ:中途採用面接での志望動機説明
今回は、志望動機とは、どのようなことを言えばよいのか、本音の部分はどこまで言っていいのかについて、解説いたしました。
以下、本日のまとめになります。
- そもそも中途採用の面接は、応募先企業へのロイヤリティ(忠誠心、熱意)、スキル経験、人間性がチェックされる
- 良い志望動機は、会社に対する熱意、入社後もスキルアップし、長く会社に貢献する、という内容を盛り込む必要がある
- 悪い志望動機の例の共通点は、自分の都合のみを述べている、会社への依存心が強く、主体性がないこと
- 本音がある程度許容される場合もあるが、あくまで主たる志望動機に付け加えられる、副次的な説明としなければならない
本日は以上です!