

本記事の内容
- 特定派遣社員が正社員への転職を成功させる方法
- 特定派遣社員が正社員への転職活動を行う際の注意点
この記事を読んでいただくと、特定派遣の方が、メーカーなどの正社員へ転職する難易度や、転職を成功させるために具体的に何をしたらよいのかが、理解できます。
本記事の信頼性
- この記事を書いている私は、大企業子会社での採用担当歴5年ほど。
- 中途採用の現場で、書類選考、面接を実施しており、応募者の中には特定派遣のエンジニアも数多く含まれています。
- かつては技術現場のマネージャーをしており、自分の担当組織の中に、多くの派遣技術者を抱えていた経験があるので、派遣社員の実情、働き方を熟知しています。
それでは前置きはこれくらいにして、特定派遣の方が、正社員への転職を成功させるための方法について、解説していきます。
もくじ
特定派遣社員が正社員への転職を成功させる方法
もしかしたらあなたは、派遣者社員がメーカーなどの正社員へ転職するのは、不利だと思っているのではないでしょうか。
確かに年齢が30歳を超えてきたり、派遣先での働き方によっては不利になるケースがあるのは事実です。
しかし、私がこれまで見てきた限り、比較的若い、26歳から27歳くらいまでに転職活動を始めれば、派遣だからといって、不利になるケースばかりではありません。
事実、かつて私の配下にいた、特定派遣の技術者たちは、かなりの確率で、有名企業への転職を成功させています。
こういったことも踏まえ、まずは正社員への転職を成功させるために、やるべきことを以下に示します。
- 派遣という限られた環境でも最大限に活かし、自分のスキルを1mmでも高める
- 職務経歴を詳細に書く
- 転職エージェントを利用する
- 面接官が納得する転職理由、志望動機を考える(熱意を伝える)
- 面接での想定質問の対策をする
1つずつ見ていきましょう。
派遣という限られた環境でも最大限に活かし、自分のスキルを1mmでも高める
まずは何と言ってもこれです。
転職が成功するかどうかは、このポイントが最重要です。
派遣というと、仕事の範囲が限られておりスキルがつかないと言われていますが、派遣という立場に甘んじ、指示されたことだけをやっていれば、任せられる仕事のレベルは上がってきません。
理由は、派遣先の上司や正社員の先輩社員に、派遣社員を育成するという考え方は基本的に存在しないからです。
正社員の部下や後輩が配属された場合は、数年から5年程度の育成計画を立て、一人前にしていくことが必須となります。
しっかりした計画を作らない職場においても、正社員は今現在、自力でできないような仕事も無茶ぶりされ、それを乗り越えていくことで成長していきます。
ところが、派遣社員は、あくまで一時的な戦力と見なされているわけですから、数年かけて育てるという概念がありません。
ところが私の下にいた派遣社員の人たちの中には、「できる派遣」と呼ばれる人たちが、何人かいました。
こういう人たちは、依頼した仕事をやってもらうと、何かしら、ちょっとした「プラスα(アルファ)」のアウトプットを出してくれます。
プラスαといっても、最初はほんの小さなことです。
指示は出していないけど、報告資料を見やすく整理してくれたり、依頼していないことも調べておいてくれたり、といったことです。
また、わからないところはしっかり質問してくれる、というのもすごく印象がよいですね。
最初のうちの質問は、とんちんかんな部分もありますが、それにもめげず、派遣先の上司や先輩と質問のやりとりを続けていくと、質問の精度もあがり、質問で回答してもらったことは、そのまま自分のスキルとして蓄積されていきます。
プラスαを出す派遣社員には、1つ上のレベルの仕事が来る
頼んだ仕事に対して、何かしらプラスαのアウトプットを出してくれる人は、派遣社員といえども、派遣先の上司や先輩は何かしらを期待すると同時に、1つ上のレベルも任せてくれるようになります。
理由は簡単で、1つ上の仕事をやってもらえれば、上司や先輩は、自分の仕事が楽になるからです。
1つ上の仕事を首尾よくやってもらうために、上司や先輩は、いろいろなことを教えてくれるようになります。
こうなってくればしめたもので、派遣という立場でありながら、「スキルアップ」という、通常の派遣社員では得難いものを手に入れることができます。
大きな会社での仕事経験はとても貴重
あなたの現在の派遣先の会社はどのような会社でしょうか。
もし、大手の大企業だったり、大手企業傘下のグループ企業でしたら、あなたはとてもラッキーです。
理由は、大手系企業での勤務経験は、転職のときに有利になるからです。
事実、かつて私の下にいた派遣社員で、上で述べたような、常に「プラスα」の成果を出してくれる人は、ほぼ例外ないく、有名メーカーなどの正社員として転職を成功させていきました。

こんなやりとりが、かつての私の職場では頻繁にありました。
本来の意味での派遣社員の活用の趣旨からすると、派遣社員が貴重な戦力になるというのは、派遣先の組織にとって、よい状態とはいえません。
しかし、上で説明したような派遣社員については、いつの間にか組織の貴重な戦力になってしまっているのが実情です。
いきなり最初の項目で、長々と書きましたが、以上をまとめると、
派遣先で与えられた仕事は全力で取り組み、常に期待を超える「プラスα」のアウトプットを出す
となります。
職務経歴を詳しく、細かく書く
派遣社員から正社員への転職において、最初の大きなハードルが書類選考です。
書類選考で極めて重要なものが、職務経歴書です。
なぜ、職務経歴書が重要かというと、現職が派遣社員の場合、企業の採用担当者の多くは、「派遣社員」という先入観で、職務経歴書に目を通します。
このような場合、あまり見どころがない職務経歴書であると、書類選考を通過する確率が低くなるのは紛れもない事実です。
職務経歴書のもとになる、自分自身の職務経歴は、仕事が一段落するごとに、日ごろから書き溜めておくのがベストです。
この段階で書き溜めるものは、自分以外の他の人には理解できない内容でOKですが、以下の項目は必ず織り込んでください。
- どのようなプロジェクトに関わったか
- プロジェクトの全体人数規模
- 自分はどのような立場、役割で関わったか
- 自分が担当した業務の難易度、規模は
- このプロジェクトで新たに習得したスキル
- このプロジェクトで技術的な部分で苦労した点
- 苦労した点をどのように乗り越えたか
ここでは、とにかくやってきたことを細かく記録しておきます。
プログラミングであれば、どのような関数、クラス、テクニックを使ったか。
CADなどのアプリケーションであれば、どのような機能、コマンドを使ってきたかなどなどです。
苦労した点というのは、ほとんどの応募者の職務経歴書で記載されていない項目ですが、実は面接官はこの部分が一番知りたいところなのです。
なぜなら、苦労した点、それをどうやって乗り越えてきたかということを知ることにより、書類に目を通す面接官が、応募者のスキルを把握できるからです。
このように、定期的に自分が経験してきた業務を、記憶の新しいうちに書き出しておくことで、中身の濃い、職務経歴書の素(もと)ができあがってきます。
定期的に職務経歴を書き出す際、派遣という立場に甘んじてしまい、変わり映えのない仕事を続けてしまっている人は、職務経歴に記載する内容も毎回、同じようなことが並んでしまい、成長の跡も見られないことがわかります。
職務経歴書の書き方については、以下の記事で詳しく解説していますので、よろしかったら覗いてみてください。
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人事担当者解説する職務経歴書の書き方 その1
職務経歴書ってどこまで詳しく書けばよいのか、迷いませんか?この記事では、実際に応募者の職務経歴書を読んで、書類選考を行っている、企業の採用担当者が職務経歴書の書き方について解説しています。書類選考に通る職務経歴書の書き方を知りたい方は必見です。
転職エージェントを利用する
職務経歴書の素となる記録をある程度、書き出した後、次にやることは、転職エージェントへの登録です。
転職エージェントに登録したら、必ずキャリアアドバイザーとの面談も実施しましょう。
キャリアアドバイザーとは、あなたの経験、能力、希望を踏まえ、応募先企業を紹介してくれるだけではなく、職務経歴書の書き方、面接の質問対策など、あなたの転職に関することをすべてサポートしてくれます。
転職エージェントは、もちろん無料で利用できますので、利用しない手はありません。
面接官が納得する転職理由、志望動機を考える(熱意を伝える)
首尾よく書類選考を通過すると、次に待ち受けるのは、適性検査と面接です。
適性検査については別の機会に述べますが、面接は、必ず転職理由と応募している企業への志望動機を聞かれます。
転職理由、志望動機については、当然のことながら、「安定」とか「給料」などの本音の部分は言うのはNGで、建前上の理由をつくり上げなければなりません。
こういった面接の肝となる転職理由、志望動機の作り込みも、キャリアアドバイザーがサポートしてくれます。
また、参考までに、転職理由、志望動機はどのように考えればよいかについて、以下の記事が参考になるかと思いますので、よろしかったら、覗いてみてください。
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転職の面接に合格できる志望動機の考え方・まとめ方【人事担当が解説】
転職面接で必ず質問される志望動機の考え方、書き方を知りたいですか?この記事では企業の人事担当の私が、面接に合格できる志望動機の考え方、まとめ方について解説いたします。応募する会社は決めたものの、志望動機の作成に悩んでいる人は必見です。
面接での想定質問の対策をする
この部分も独力で行うのが困難な部分です。
ここで転職エージェントを活用するメリットは、キャリアアドバイザーが、自分が今回受ける会社の過去の面接で出た質問など、膨大なデータを持っていることです。
面接での質問対策については、以下の記事にも詳しく解説しています。
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技術者の転職 面接でよく聞かれる質問【元・技術者の人事が解説】
技術者の転職の面接で、どのようなことを質問されるか知りたいですか?この記事では実際に技術者の中途採用面接を担当している企業の人事担当者が、面接で聞かれる質問について解説します。中途採用面接での具体的な質問内容を知りたい技術者の方は必見です。
特定派遣社員が正社員への転職活動を行う際の注意点
ここまで、特定派遣の方が正社員への転職を成功させるために、やるべきことを述べてきましたが、いくつかの注意点についてもお伝えしていきます。
職務経歴書はまずは自力で書き上げる
転職エージェントのキャリアアドバイザーは、職務経歴書の書き方についても指導をしてくれますが、私が思うに、キャリアアドバイザーの職務経歴書に対する指導には、物足りなさを感じます。
これは、転職エージェントの数少ない欠点のうちの1つです。
私はこれまで、数多くの中途採用応募者の職務経歴書に目を通していますが、大多数の応募者の職務経歴書は、内容が薄いです。
「内容が薄い」とは、この方が実際にどれくらいの「実務力」を持っているのか、職務経歴書では読み取れない、ということです。
転職エージェントなどのウェブサイトに掲載されている職務経歴書の書き方例は、技術がわからない人事部の採用担当者でもさっと読めるよう、A4 1枚~2枚程度にまとめるのが良しとされています。
ところが職務経歴書に目を通すのは、人事部の採用担当だけとは限らず、受入れ現場の管理職の手に渡ることも少なくありません。
その道を専門とするプロが、ただ経験してきたことをサラッと羅列してあるだけの職務経歴書を見ても、目に留まることはあまりありません。

となってしまうことが、なんと多いことか。
そうなんです。現職が派遣であるがゆえに、派遣社員の方は、プロが見て、目を引く、心に留まる職務経歴書を作成しなければならないのです。
転職エージェントの書き方例に沿って書いても、心にとまる職務経歴書にはなりません。
この点はよくよくご注意ください。
言うまでもなく、最初は下手くそな文章でもOKです。
まずは自分の経験、成長がすべて詰まった、詳細な職務経歴書を自力で書き上げましょう。
転職エージェントは複数登録する
転職エージェントは、大手系の会社に転職したいのでしたら、まずは大手の有名エージェントへの登録をおすすめいたします。
転職エージェントは、どこの会社が一番良いか、ではなく、結局はあなたを担当するキャリアアドバイザーとの相性で良し悪しが決まってきます。
大手のエージェントには数多くのキャリアアドバイザーが在籍していますが、当然のことながら、仕事のできる人、そうでもない人、あなたと相性が合う人、合わない人など、いろいろな人がいます。
こればかりはなかなか、自分の合う人が担当についてくれるとは限りません。
よって、最初のうちは面倒でも、複数のエージェントに登録し、担当のキャリアアドバイザーと面談してみて、徐々に自分に一番合うキャリアアドバイザーが在籍する会社に絞っていきましょう。
おすすめの大手転職エージェント
- 転職のリクルートエージェント|転職成功実績No.1:業界最大手。求人案件が豊富。ここを外す手はありません。
- dodaパーソルキャリア|技術系の転職に強い:リクルートに肉薄する業界No.2。
- マイナビエージェント|人材紹介・転職サイト:定番のマイナビです。新卒就活の時に利用した人も多いと思います。
- パソナキャリア | 顧客満足度2年連続総合1位:特に女性におすすめです。キャリアアドバイザーも女性が多いエージェントです。
まとめ:特定派遣社員が正社員への転職を成功させる
今回の記事では派遣社員、特に特定派遣の方がメーカーなどの正社員への転職を成功させるために必要なことを、述べさせていただきました。
以下、本日のまとめになります。
- 転職を成功させるための第一歩は、派遣という現状の立場、環境でも最大限に活かし、自分のスキルを1mmでも高める。
- 職務経歴は派遣社員の転職における最初の大きなハードル。職務経歴書は詳細に書く。
- 転職エージェントを利用する。転職エージェントはあなたの経験、能力、希望を踏まえた企業を紹介してくれるほか、あなたの転職に関するあらゆることをサポートしてくれる。利用しない手はない。
- キャリアアドバイザーを活用し、面接官が納得する熱意が伝わる転職理由、志望動機を考える。転職理由は本音を言ってはいけない。
- キャリアアドバイザーを活用し、面接での想定質問の対策をする。
本日は以上です!